| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-080

一流域におけるツル植物の分布と森林構造の関係

*楠本聞太郎(九大生資),榎木勉(九大農),渡邊康志(GIS沖縄),久保田康裕(琉大理)

亜熱帯性常緑広葉樹林において、流域内の森林構造の変化とツル植物の分布との関係について検証した。

沖縄島北部の琉球大学農学部附属与那フィールド内の約16 haを調査地とした。GISを用いて、平面直角座標系上(JGD2000)で25m×25mグリッドを作成した。調査地の範囲において、同一の分水界とみなせる範囲(14.5 ha)を解析対象流域とした。調査流域において、直径2cm以上のツル植物、および直径30cm以上の立木の種名を記録し、直径、根元位置を測定した。根元位置の測定には、GPSを用いた。

調査流域全体において、24種、1545本の立木、20種、830本のツル植物を記録した。立木では、イタジイの幹数が最も多く、全幹数の約65%を占めた。ツル植物では、ハナガサノキの幹数が最も多く、全幹数の約33%を占めた。

立木の幹密度、BA(胸高断面積合計)の値は、下流で小さく、上流で大きかった。沖縄島北部において、イスノキの優占度は老齢林で高くなることが知られている。調査流域において、イスノキは、下流ではほとんど見られず、上流に偏って分布していた。これらのことから、調査流域は、森林構造の違いによって、下流と上流の二つに分けられた。

ツル植物全体の幹密度は、下流で低く、上流で高かった。出現種20種の内9種において、上流で幹密度が高かった。下流で幹密度が高かったのは、ハナガサノキ1種のみであった。その他の種では、出現本数が少ない種を除くと、下流から上流まで広域に分布しており、幹密度の変化はみられなかった。調査流域において、森林構造の変化と対応して、ツル植物の群集構造も変化していた。これらの群集構造の変化には、種ごとの人為攪乱に対する応答の違いが影響していると考えられた。

日本生態学会