| 要旨トップ | | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P1-116
かつて三宅島には小鳥の巣を襲う捕食者は生息していなかった。しかし、1980年代にドブネズミ(Rattus norvegicus)やクマネズミ(R. rattus)などによる農林業上の被害を減らすために放獣したイタチ(Mustela itatsi)が増え、一部の鳥類や爬虫類が減少したと言われる。だが、実際にイタチによる巣の捕食が鳥類の繁殖に及ぼす影響については明らかになっていない。特定の鳥種がイタチに捕食され、個体数が減少していることも考えられるため、どのような鳥種がイタチに捕食されているのかという疑問は早急に解明する必要がある。
そこで、どのような巣場所がイタチの捕食に遭いやすいかを調べるために、人工巣を用いた野外実験を行った。2007年6月に島内4地区でウズラ卵を入れた人工巣(96個)を15日間設置し、その間2, 3日ごとに見回り捕食されたか否かを記録した。巣場所の特性としては林相(常緑林・竹林)、巣の高さ(地上0〜2.5m)、林縁からの距離(2〜11m)の3つの変数を記録した。
15日間に捕食されるかどうかは、林縁からの距離と関係があった(近いほど捕食されやすかった)。また捕食された巣について見ると、竹林で高さが低く、林縁に近い巣ほど短期間で捕食される傾向があった。これらの結果から、イタチがどのような営巣環境をもつ鳥の繁殖に影響を及ぼしているのかについて考察する。