| 要旨トップ | | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P1-140
外来種であるアカミミガメと在来種である(とされる)クサガメについて,両種の潜水生態の違いと相手の種への影響を実験的に明らかにするため,両種の個体に潜水深度を記録するデータロガーを装着して水槽実験を行ない,各種が単独で採餌するときと他種と一緒に採餌するときとで潜水行動がどのように変化するかを,体サイズが大きいものと小さいものを用意して比較した。結果は,他種の存在の影響は体サイズによって異なっていた。大きな個体の場合,クサガメはアカミミガメがいるときには,相対的により短い潜水間隔で長時間潜水したが,アカミミガメはあまり変わらなかった。一方,小さな個体の場合,クサガメはアカミミガメがいるときには,相対的により長い潜水間隔で短時間潜水したが,アカミミガメは逆の傾向を示した。また,クサガメはアカミミガメがいるときには,より多くの時間を水底で過ごしたが,アカミミガメは逆の傾向を示した。これらの結果は,他種の存在の影響の大きさはカメの成長段階によって異なることを示唆していて,小さい段階ではクサガメはアカミミガメによって水中利用を制限されるが,大きくなると逆にクサガメがアカミミガメの水中利用を制限する可能性を示している。