| 要旨トップ | | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P1-151
温度は生物、特に変温動物である昆虫に大きな影響を与える環境要因のひとつである。しかし、昆虫において、温度が交尾や射精精子数、再交尾にどのような影響が及ぼすかは、詳細には研究されていない。そこで、25℃で飼育しているアズキゾウムシCallosobruchus chinensisを用い、高温(33℃)、常温(25℃)、低温(17℃)の3つの異なる温度条件に設定した恒温室内で交尾させ、交尾率、交尾持続時間を測定した。交尾後解剖して雌の受精嚢を取り出し、射精精子数を推定した。また、各温度下で交尾をさせた後、常温下で再交尾率・再交尾の交尾持続時間を比較した。精子の移入数の経時的な推移をみるために、一定時間ごとに交尾ペアを切り離し、受精嚢内に精子が移送された雌の割合を調べた。その結果、初回交尾継続時間は高温<常温<低温となり、再交尾率は高温=常温>低温の順となった。受精嚢内の推定精子数は高温に比べて低温のほうが有意に多かった。メスの受精嚢内への精子の移送開始は、低温になるほど遅くなることがわかった。