| 要旨トップ | | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P1-164
サギ類コロニー(集団繁殖地)はコロニー数の増加とコロニー規模の縮小、継続年数の短縮化の傾向にあることが、1994年に行われた「第4回自然環境保全基礎調査・鳥類の集団繁殖地及び集団ねぐらの全国分布調査」によって報告されている。これらの変化の状況を詳しく観察していくことは、コロニー繁殖の利益や立地の必要条件などを解明するための糸口になると考えられる。本研究では、第一段階として、兵庫県におけるサギ類コロニーの現状把握を行った。
コロニーの分布を明らかにするために、第一に調査員および兵庫県の野鳥関連の市民団体などに対してアンケート調査を行い、情報を収集した。次いで、アンケートの回答があった場所へ赴き、コロニーの規模や種構成、正確な位置、環境などを確認した。アンケート対象者が少ない地域においては、河川を中心に自動車でまわるなどして、コロニーの探索を行った。調査は、2007年6月〜8月に行った。
兵庫県において確認されたサギ類のコロニーは、59箇所だった。アオサギが入っているコロニーが最も多く、次いで、ダイサギ、ゴイサギだった。アオサギは、ササゴイとゴイサギの単独コロニー4箇所を除く全てにみられ、アオサギのみのコロニーも多く存在していた。アオサギのコロニーには、規模が小さい、コロニー間の距離が比較的短い、標高60m以上にあるものも多く見られ、コロニーの設定が柔軟である可能性が考えられた。コサギ・チュウサギ・アマサギといった小型のシラサギ類の加わっているコロニーは、しかしながら、10箇所前後であり、とりわけ日本海側では全く確認されなかった。これらのサギ類もかつては日本海側まで分布していた記録があるため、大きく減少していると考えられる。