| 要旨トップ | | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P1-176
顎や角のような二次性徴をもつ動物では、その形質の発達に伴い、それを支えるような形質(頭や脚)が大きく発達することがあるが、反対に体内での二次性徴との資源分配により小さくなる形質(複眼や触角)も存在する。雄のみが発達した大顎、頬と小さな角を頭部に持つ甲虫、オオツノコクヌストモドキを用いて、我々は遺伝的な多面発現によってこの現象が起こることを明らかにした。オスの大顎に人為分断選択を10世代かけた結果、長い大顎を持つ雄の系統(L)、短い大顎を持つ雄の系統(S)と無選択のコントロール系統を確立した。次に系統間で形態及び行動を比較したところ、L系統の雄では、S系統の雄に比べて、最大胸幅、胸長、頭幅、頭長、頬幅、前脚が大きく、より強い攻撃性を示した。これらの形質と大顎の間には正の遺伝相関があった。これに対して頭部角、複眼、触角と鞘翅長では、S系統の雄がL系統の雄より有意に大きく、大顎との間に負の遺伝相関があることがわかった。一方で、鞘翅幅、中脚、後脚では系統における違いは検出されなかった。