| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-193

給餌時におけるツバメの雛間相互作用

*北村亘, 藤田剛, 樋口広芳(東大・農・生物多様性)

親が子に給餌するような動物では、子が親に餌などの資源をねだるbeggingという行動が知られている。Beggingは子が親に対して自分の状態を伝える正直な信号であると考えられており、鳥類で特に研究が進んでいる。近年、子の発するbeggingに対して、親のみならず、子同士も反応することが示唆されてきた。空腹になるとbeggingが激しくなることが知られているツバメ(Hirundo rustica)雛を用い、子同士が互いのbeggingにどのような反応を示すか調べた。

調査は2006〜2007年の繁殖期に、千葉県富津市内にあるツバメコロニーで行った。巣から取り出した雛に人工的に給餌し満腹にさせた後、一方には給餌を続け、もう一方には給餌を絶つことで2通りの状態を作り出した。紙製の容器中に2羽の雛を入れ、それぞれに対しどちらかの状態を割り当てた様々な組み合わせを作り出し、beggingの変化を記録した。この時のbeggingの激しさと、同様の実験を雛1羽に対して行ったときのbeggingの激しさを比較することで、相手のbeggingに対してどのような反応をするか調べた。

一般に一度に複数の子を育てる鳥類において、beggingは少なくとも2つの機能を持っていると考えられている。一つは、巣全体に運ばれる餌量を増加させる機能であり、もう一つは、巣内での自分に与えられる餌の割合を増やす機能である。雛同士が互いのbeggingに反応した結果、どのような機能のbeggingを変化させる可能性があるかも含めて議論をしたい。

日本生態学会