| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-199

遺伝構造からみたエゾアカヤマアリのスーパーコロニー

*藤原慎悟,岩倉美沙子(北大・院・環境科学),久保拓弥(北大・地球環境),城所碧(神戸大・理),東正剛(北大・地球環境)

エゾアカヤマアリは北海道の石狩浜において、スーパーコロニーという10km以上にも渡る巨大コロニーを形成する。スーパーコロニー内では巣間の敵対行動が見られず巣密度が非常に高いため、他種を排除し、生態的優位を獲得している。スーパーコロニーの進化と維持メカニズムはハミルトンの血縁選択説だけでは説明できない点が多く、これまで多くの研究者がこの問題に挑んできた。例えば侵入先でスーパーコロニーを形成するアルゼンチンアリの場合、侵入時の遺伝的ボトルネック効果によってスーパーコロニー内の巣間が遺伝的に類似し、巣仲間認識能力が欠如したために敵対性が消失したと考えられている。しかしエゾアカヤマアリの巣仲間認識に係る先行研究では、スーパーコロニー内でも警戒行動が見られた。このことから認識能力は維持されており、スーパーコロニー内でも遺伝的に類似していない可能性が考えられる。また在来種のスーパーコロニーに関する研究は少なく、在来環境でのスーパーコロニー形成メカニズムを解明する必要がある。

そこで本研究では在来環境でのスーパーコロニーを形成するエゾアカヤマアリにおいて、スーパーコロニー内の遺伝的類似性を調べ、スーパーコロニーの構造や進化メカニズムについて考察する。遺伝構造解析にはマイクロサテライトDNA7遺伝子座を使用、スーパーコロニー内外の6個体群から1〜9巣採集し、各巣45〜48個体のフラグメント解析を行った。巣、個体群、コロニーの3階層での遺伝構造を調べた結果、コロニー間だけでなくスーパーコロニー内の個体群間でも、有意な遺伝的差異が見られた。また巣レベルでの解析では、一つの個体群内に複数の遺伝集団が認められた。

日本生態学会