| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-210

アリは如何にしてコロニーの大きさを認識するのか?

*菊地友則(琉大・農),中川敬之(富山大・理),辻和希(琉大・農)

社会性昆虫を特徴づける形質として採餌や分業などの集団行動が上げられる。集団行動は特定の個体(女王など)のトップダウンでコントロールされているわけではなく、局所的情報に基づく個体の行動によって構成されるフィードバック機構によって成り立っていると考えられている(自律分散制御・自己組織化)。昆虫社会に内在する制御機構の中でも、コロニーサイズ認識(ワーカー数)メカニズムは社会性維持の基盤と考えられる。なぜなら、生活史ステージによって大きく変化するコロニーサイズ(数個体から数百、数千個体へ)に反応し、様々な集団行動を維持・発現する必要があるからである。本研究は、南西諸島産トゲオオハリアリを用いて、コロニーサイズ認識機構を解明することを目的とした。コロニーサイズ認識には、コロニーサイズを反映した情報の存在が必要不可欠である。そこで、我々が着目したのは女王存在情報である。本種の女王物質は難揮発性で、ワーカーには直接接触によってのみ伝達されることが先行研究から明らかになっている(Tsuji et al. 1999)。直接接触による情報伝達は、コロニーサイズの影響を容易に受けやすい。そこで、女王存在情報の伝達パターンとそれに及ぼすコロニーサイズの影響を調査し、女王存在情報がワーカーにとってコロニーサイズ認識の情報になりうるのかを検討した。

日本生態学会