| 要旨トップ | | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P1-229
熱帯に棲息する野生生物の多くは撹乱林に依存しており、人間による棲息地撹乱が野生動物に与える影響を理解し評価する方法が求められている。本研究では動物が環境改変などでストレスにさらされた際に分泌されるホルモンであるコルチコイドを指標とし、森林伐採が熱帯の野生生物に与える影響を定量的に評価することが可能であるかを検証した。マレーシア・ボルネオ島・サバ州において伐採が野生のジャコウネコ(Viverridae)およびベンガルヤマネコ(Prionailurus bengalensis)に及ぼすストレスを調べるため、伐採圧の違う森林間でこれらの動物の糞中コルチコイドレベルを比較した。まず同所的に多種が棲息するジャコウネコの糞を区別するため、糞に残存するmtDNAのD-loop領域を用いた種同定を試みた。次にEnzyme immuno assay法を用いてこれらの動物の糞中コルチコイド濃度を測定し、従来型の破壊的択伐が行われている森林と、持続的森林伐採を目的として環境への影響が低いとされる伐採方法が導入されている森林とで比較した。これらの研究の中間的な結果を紹介したい。