| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-232

九州で絶滅危惧のニホンリスを探す-どこでどのように? Part II-

*安田雅俊(森林総研・九州), 片岡友美(リスムササビネットワーク・NPO法人生態工房)

本報告では,絶滅の危機にある九州産ニホンリスの残存個体群を探索する際の具体的な方法論を提案し,議論する.九州地方のニホンリスは,2007年改訂の環境省のレッドリストにおいて“絶滅のおそれのある地域個体群”とされているが,九州からは過去100年間に標本をともなったニホンリスの確実な生息記録はなく,既に絶滅したとも言われている.安田(2006, 2007, 2008)は,過去の記録や狩猟統計等をとりまとめ,九州産ニホンリスの過去と現状,および保全上の課題を議論した.狩猟統計によれば,ニホンリスが狩猟獣であった1923年度〜1993年度に,九州本土全体で計2484個体のリス類が捕獲された.このうち外来種のリス類(タイワンリスとシマリス)を含む可能性がない1930年代以前の捕獲数から,当時ニホンリスは主に熊本県,大分県,鹿児島県,福岡県,宮崎県に分布したことが示唆された.本報告では,現在,我々が取り組んでいる「九州産ニホンリスの探索プロジェクト」を紹介する.具体的には,生息可能性の高い複数の地域(調査候補地)の抽出法と現地での生息調査法を提案し,それらの有効性と改善点を議論する.あわせて九州各地からの目撃情報を募りたい.■連絡先:risusagashi@fieldnote.com ■文献:安田雅俊 (2006) 九州地方のニホンリスについて. リスとムササビ 18:14-16. 安田雅俊 (2007) 絶滅のおそれのある九州のニホンリス,ニホンモモンガ,およびムササビ. 哺乳類科学 47:195-206. 安田雅俊 (2008) 宮崎県の狩猟関係資料にみる幻のニホンリス. みやざき民俗 60 (印刷中).

日本生態学会