| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-243

ICレコーダーを用いたトノサマガエルとヌマガエルの音声モニタリングと水田環境との関係

村上裕(愛媛県立衛生環境研究所)

水田を二次的自然環境として繁殖および生息に利用するカエル類のうち、トノサマガエルとヌマガエルについて、ICレコーダーを用いた音声モニタリングを実施し、水田環境との関係を調査した。2007年5月から9月にかけて、平野部(愛媛県松前町)、山間部(同、久万高原町)、および谷戸部(同、東温市)にICレコーダーを設置した。録音時刻(時間)は20:00から20:20(20分間)とした。谷戸部においては15:00から翌11:00(20時間)の録音を追加調査した。20分間の録音は、トノサマガエルとヌマガエルの繁殖期間を明らかにする基礎データを得るために実施した。また、これまでの調査でトノサマガエルは、調査対象地域において音声による分布把握やモニタリングに誤差を生じる可能性が高いことが明らかになったため、本種の音声を確認できる時間帯や条件を明らかにするために、これまでの調査で成体が確認された上記谷戸部において、20時間録音を10日に1回の頻度で実施した。

その結果、20分間の録音では谷戸部においてトノサマガエルの音声が5月2日から5月31日にかけて、24日間の音声を確認した。産卵は5月7日に確認されたが、その後の卵塊数の増加は確認できなかった。踏査で頻繁に本種の成体・亜成体が確認されている山間部での音声の確認は1日のみであった。ヌマガエルは平野部において5月21日から7月3日にかけて、21日間の音声を確認した。20時間録音でトノサマガエルの音声は21:30から22:30にかけて確認率が高まった。以上の結果と水田環境との関係から、両種の繁殖時期等に及ぼす諸要因について検証した。

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