| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-245

飯田市よこね田んぼにおける希少水田雑草の保全を目的とした群落生態学的研究

*三宅慎平,大窪久美子(信州大・農)

かつて水田を生育地としてきた水田雑草の多くは,近年の農業の近代化等に伴い,絶滅危惧やその生育規模を縮小させていることが問題となっている。しかし水田雑草については分布情報や管理との関係性等,基礎的データの蓄積も少ないことが保全策検討の課題となっている。そこで本研究では絶滅危惧種であるミズオオバコやシャジクモの分布が既に確認された長野県飯田市千代地区「よこね田んぼ」において,水田雑草群落と立地環境,管理条件との関係性を明らかにすることを目的とした。

調査は水田一筆の畦際から1mの範囲を1調査区として,植生調査(夏期:2007年7月,秋期9月)と,土壌水分調査(11月),水質調査(水温,pH,EC,DO:9月)は地域保全水田36筆と慣行水田4筆の合計40筆で行われた。水田耕作・管理についての聞き取り調査は各管理者に行った。

夏期の植生調査では93種,秋期の植生調査では134種が出現し,その内の10種が環境省または長野県のRDB種であった。各種の被度百分率を用いてTWINSPANを行った結果,夏期では湿生群落WS1〜WS4と乾生群落DS1〜DS3の合計7群落型,26種群に,秋期では同じく湿生群落WA1〜WA4と乾生群落DA1〜DA3の合計7群落型,23種群に分類された。土壌含水率では夏期のWS3はDS2,DS3より有意に高く,秋期のWA4はDA1,DA2より有意に高かった(Scheffeの多重検定:p<0.05)。DCA序列化より,夏期では第1軸の左から右に湿生群落→乾生群落の順に,秋期では逆に左から右に乾生群落→湿生群落の順に配置され,第1軸は夏期では土壌含水率と負の,秋期では正の相関がみられた(p<0.05)。本大会ではその他に水田の管理状況も踏まえた考察を加える予定である。

日本生態学会