| 要旨トップ | | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P1-260
日本全国で野生鳥獣による農林作物への被害が報告されているが,ニホンザルの有害捕獲は必ずしも有効な対策とは言えない.現在ニホンザルは年間1万頭超の個体が有害捕獲されているが,鹿児島県屋久島では,その5%にあたる500頭超が捕獲されている.ニホンザル生息地の1%程度と見積もられる屋久島では、他地域の5倍規模の捕獲が行われていることになるが、それにも係わらず被害は収束しない.この大規模な有害捕獲は,狩猟免許保持者への負担を大きくしており,同時に捕獲によるニホンザル個体群への影響も大きいことが推測される.現在,行政が記録してきた統計資料から,近年の被害状況,捕獲頭数の推移を分析している.また近年の三年度については,大字単位で記録された捕獲統計が得られたので,さらに島内の各地域の現状に応じた細かな分析を進めている.本発表ではその途中経過を報告し,これからの屋久島のニホンザル個体群の保全の進め方について議論したい.