| 要旨トップ | | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P2-011
訪花昆虫において、他種あるいは同種の他個体が採餌している花への同時訪花は個体間の干渉を生じ、占有にかかるコストが大きくなることが考えられる。そのため同一花上への訪花は避けるのが望ましい。 一方で花上の訪花個体の存在は、資源の豊富さを示す情報にもなる。採餌する動物が、同種他個体により残される匂いや、採餌している個体のいる餌資源を訪れることを好む行動はlocal enhancementとして昆虫類でも報告されてきた。ハナバチ類では社会性種で確認されているが、単独性種に関しては殆どわかっていない。前年の実験結果から、ミツバチなど複数種が花上の他個体との干渉を避けて採餌するのに対し、マイマイツツハナバチは他個体の存在する花を有用な資源情報として訪れることが確認された。本研究ではマイマイツツハナに注目し、本種が積極的に他個体のいる花を訪花するのかを検証するために野外実験を行った。花上に着地したマイマイツツハナの個体にすぐ、セイヨウミツバチ、マメヒメハナspp.、マイマイツツハナの標本を呈示したところ、花を去る割合は他種に対して呈示した時よりも低い傾向にあった。また、花上に3種の標本を設置して各花への訪花を観察したところ、マイマイツツハナはマメヒメハナspp.の標本が設置された花へ訪花する割合が高かった。さらに他個体の存在以外のcueを利用するかを確かめるため、同種他個体に採餌された花を呈示したが、忌避の割合は低かった。以上の結果から、マイマイツツハナは同一花上へ他個体が訪花しても資源を譲らず、また積極的に他個体のいる花を訪花することが確認された。中でもマメヒメハナspp.の採餌している花を訪花する傾向が強かったことから、本種を効果的な目印として利用し、採餌の効率化を図っていることが示唆された。