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一般講演(ポスター発表) P2-035
迅速測図とは明治初期から中期に実施された各種測図法の総称およびその成果の地図のことであり,近代化以前の伝統的な日本の農村景観や土地利用の復元にあたっての貴重な資料である。関東地方では,東京中心に南北約160km,東西約170kmが測量されている。
これらの迅速測図の幾何補正を行うには,現在の地図の間の共通地点を最低四点見つける必要がある。しかし、約120年の間に景観が急激に変化した関東地方において,この共通地点を見つけるのは容易ではなく,さらに,重複も含めると全921図葉存在する迅速測図の広範囲にわたる幾何補正は膨大な作業量が必要とされ,これまで行われていない。そのため,資料としての活用も限られたものであった。そこで,本研究では広範囲にわたる迅速測図の幾何補正を簡易に行う手法を開発することを目的とした。
関東地方における迅速測図は皇居・富士見櫓を測量原点とし,一図葉の測量範囲は,基本的に南北5km,東西4kmである。そこで,各図葉の測量範囲の四隅に対して,測量原点からの距離にもとづく座標値を定義した。なお,一部の図葉では測量範囲が通常の二分の一,または四分の一の場合があるが,その際は与える座標値も変更した。これらの相対的な座標を定義した図葉について,余白を削除し結合処理を行った上で,幾何補正を行った。本手法では,幾何補正のための現在の地図との共通地点を確定する作業量を劇的に軽減することが出来る。また相対的座標系を定義したことにより,図葉間の重複や空白のない結合が可能となった。