| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-040

水田・休耕田における植物相保全のための生態学的土地評価

*荒金恵太(東京大・農),大久保悟(東京大・農),山田晋(農業環境技術研究所), 北川淑子(東京大・農), 大黒俊哉(東京大・農)

近年、水生・湿生植物の多様性を保全する場としての水田・休耕田の機能に期待が高まりつつある。水田・休耕田における植物相の成立に関して、自然立地や基盤整備といった土地条件が重要な要因として考えられるが、これらの要因と植物相の対応関係について取り組んだ事例は少ない。そこで本研究では、茨城県南部・小野川流域の耕作水田および休耕田を対象として、自然立地・基盤整備(排水状況)の違いによる立地区分ごとに水生・湿生植物の生育地としてのポテンシャルを評価することを目的とした。まず、地形図、土地分類基本調査図(地形分類図、表層地質図、土壌図)、および農林水産省土地利用基盤整備基本調査のデータを用いて、対象地の耕作水田・休耕田を、沖積低地上流域(排水不良)、沖積低地上流域(排水良好)、沖積低地下流域、台地開析谷谷床、干拓地の5つに区分した。次に、立地区分ごとに耕作水田および休耕田を5区画以上ランダムに選んで植生調査を実施し、立地区分と植物相との対応関係について解析を行った。

DCAによる序列化を行った結果、耕作水田では立地区分ごとの植物相の違いが明瞭であった。しかし、休耕田についてはその違いが確認できなかった。この理由として、休耕田の管理履歴や休耕(放棄)年数といった他の要因が、植物相の成立に大きく影響を与えていることが考えられた。一方、レッド・データ種の生育分布については、ミズニラは台地開析谷谷床や排水不良域の耕作水田・休耕田で、ミズアオイは干拓地や沖積低地下流域の休耕田で出現するなど、立地区分ごとの違いが確認された。

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