| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-044

都市域における緑地の生態学的価値評価に関する研究

*森田大也(九工大?工),伊東啓太郎(九工大?工),西田貴紀(九工大?工),橋本大輔(九工大?工),磯野大(九工大?工),真鍋徹(北九州市立自然史?歴史博物館)

都市では、人口の集中による急激な都市化の過程で、多くの緑が都市的土地利用に次々と転換されていき、残された自然や緑も縮小・分断化、あるいは特定用途に機能化されていった(笹倉ら、2000)。そこで、都市では、残された緑地を社会的資産として捉え積極的に保全・活用していくことが求められている(大澤ら、2004)。本研究では、都市域における生態系の再生手法について提案を行う前段階として、現在の都市域の緑地の生態学的ポテンシャル評価を行う事により、都市緑地の現状を生態学的視点から把握することを目的としている。

対象地は、福岡市西区にある半径2kmの範囲の地域を選定した。対象地の周辺環境は、室見川が流れており、近隣には飯盛山等の山系が存在する他に、田畑や森林も広がっており、比較的自然環境が豊かであるが、近年では、福岡都市高速道路や地下鉄3号線など都市化が進行している。

本研究では、福岡市西区の市街化が進行している地域においてビオトープマップを作成し、対象地における生態的に価値の高い緑地を平面的に把握した。まず、現地踏査及び航空写真判読、過去の植生図を基に現存植生図を作成し、作成した現存植生図と福岡市土地利用現況図をGIS上でオーバーレイし、ビオトープマップを作成した。さらに、公園緑地を対象とし、対象地における公園緑地の生態学的ポテンシャル評価について考察を行った。初めに、対象地における公園緑地に存在する樹木の種数及び個体数、公園緑地の周辺環境について調査を行った。さらに、鳥類を評価指標とし、公園緑地が鳥の餌場・休息空間として形成されているかについて1.種多様性による評価、2.主成分分析による生態学的ポテンシャル評価を行い、公園緑地の持つ潜在性を把握することを目的とした。

日本生態学会