| 要旨トップ | | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P2-049
ハシブトガラスとハシボソガラスの生息域は、人間の生活する場所と重複している。このため、カラスによる生ゴミの散乱や農作物の被害など、人間とカラスの摩擦が生じている。このような問題を解決するためには、人間による土地利用と、カラスの分布や個体数、行動生態との対応関係について理解することが大切である。既往の研究では、両種が選好する生息環境は、都市、農耕地といった土地利用の区分と概ね対応していることが示されている。しかし、土地利用の特性を決定付ける、より詳細な構成要素との対応関係については十分に明らかにされていない。そこで本研究では、土地利用の形態や利用状態に着目し、これらが両種の生息分布に与える影響を明らかにすることを目的とした。
カラスの非繁殖期である2007年10月から2008年1月にかけて、多様な環境をもつ宇都宮市において、分布と個体数調査、行動生態調査、および土地利用要素調査を実施した。調査により、ハシブトガラスは高い建物や電柱電線などに、ハシボソガラスは電柱電線や収穫後の耕区などに、高い頻度で個体の出現が確認された。これらの結果を踏まえて、各調査地点の土地利用の構成比率を比較し、グループ分けして分析した結果から両種の生息分布に与える影響を報告する。