| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-052

中国内蒙古ホルチン砂地における植生回復ポテンシャルの評価

*大黒俊哉(東大・農),宮森映理子(東大・農),宮坂隆文(東大・農),趙学勇(寒区旱区環境工程研)

北東アジアのステップ地域では、市場経済化の進展や畜産物に対する需要増加にともない草原の荒廃化が急速に進行し、牧養力の低下と受食性の増大を引き起こしている。砂漠化防止と持続的な生産活動を両立させるためには、草原生態系の提供する食料・家畜飼料供給、土壌保全、水資源供給等の生態系サービスの安定的な供給が可能となるような、生態系機能の回復が不可欠である。環境省地球環境研究総合推進費「北東アジアの草原地域における砂漠化防止と生態系サービスの回復に関する研究」は、北東アジアの草原地域を対象として、生態系サービスの機能評価に基づいた生態系統合モデルを開発し、生態系サービスの回復を促進する緑化・環境修復技術を生態系再生の最適解として提示するためのフレームを構築することを最終目標としている。すなわち、(1)植生の回復力が高い場所はどのような規則性で分布しているのか?(2)環境修復の鍵となる植物はどのような環境適応力を持っているのか?(3)さまざまな緑化技術は、どのようなメカニズムで環境修復を促進するのか?という課題に対応した3つのサブテーマを設定し、「どの場所に、どのような技術の組み合わせ(技術パッケージ)をどの程度重点的に適用すれば最大の効果と持続性が得られるか」についての科学的な根拠を示すことを目指す。本報告では(1)のうち、植生回復ポテンシャル評価に関する検討結果を紹介する。具体的には、中国内蒙古自治区ホルチン砂地南部に位置する奈曼旗のテストフィールドにおいて、植生回復の核となる植生−自然立地タイプを衛星画像及び現地踏査により抽出する方法を検討した。

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