| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-055

アマモ場の時空間変動に対する周辺環境の影響

*渡辺健太郎(千葉大・院・自然科学), 仲岡雅裕(千葉大・院・理), 石井光廣(千葉県水産総合研究センター), 近藤昭彦(千葉大・環境リモセン)

沿岸生態系の主要景観のひとつであるアマモ場は開放系であり、その生態系の変動予測や機能評価には、複数のアマモ場を含むより大きな空間スケールでの特性を考慮することが必要である。東京湾内の複数のアマモ場は、海流を介した種子の移動分散により1つのメタ個体群を形成していることが指摘されている。これまでに演者は、航空写真を利用したリモートセンシング/GISにより東京湾沿岸千葉県富津市から館山市にかけて点在する複数のアマモ場の長期変動を解析した。その結果、面積の時間変化はアマモ場間で同調していないことが明らかとなっている。

そこで本発表では、各アマモ場の面積変動と、そのアマモ場に最も近い海域の水質データ(特にアマモの生長に影響を与えると思われる水温、透明度、全窒素量、全リン量)の年次変動との相関を調べた。その結果、一部のアマモ場の面積変動は前年の平均水温や平均透明度や平均全窒素量と相関を示したが、そのような環境要因とその面積変動に有意な相関がみられないアマモ場もあった。

一方、複数のアマモ場では堤防の延長が面積の拡大に大きな影響を与えていることが判明した。これらのアマモ場については、東京湾の風速データおよびアマモ場の各方位の吹送距離を元に、weighted effective fetch(WEF)を算出し、各年のWEFとアマモ場の面積変化の関連を解析した。

日本生態学会