| 要旨トップ | | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P2-069
標高400m以上の冷温帯地域におけるナラ枯れ跡地での林床植生変化を予測するため、ナラ枯れが発生してから4年以内での地域で高木樹種の本数密度に与える要因を解析した。ミズナラの枯損率は、35〜100%(平均67%)で高木全体に占める割合も22〜79%(平均43%)で地域によって大きな林冠ギャップが生じた。いくつかの先駆性の強い樹種では枯損率の高い林分ほど密度が高い場合がみられたが、全高木樹種の種類数および本数密度とも枯損率との間に相関関係はみられなかった。その原因として、遷移後期ないしはそれに近い樹種の密度は、先駆性樹種よりも高く枯損率に関係なくほぼ一定数存在していたことから、これらの樹種によるナラ枯れ跡地の植生回復に対する貢献性は高いと考えられる。標高・傾斜などの環境要因と上木の枯損率やササの被度など光環境要因を使って重回帰分析を行い、林床の高木樹種の稚樹密度の推定を試みた。その結果、全高木樹種の本数密度は、枯損率に加え、枯れが発生してからの年数・微地形・傾斜などで65%の説明力が示されたことから、ナラ枯れ発生地域の立地環境や枯損状況などから跡地の植生回復状況を推定することが可能であった。