| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-103

極東における最終氷期以降の植生変遷2−サハリン

*五十嵐八枝子(北方圏古環境研究室),高原 光(京都府大農),片村文崇(京都府大農),池田重人(森林総研),竹原明秀(岩手大人文),Mikishin, Y. (Far East Geological Institute, FEB RAS), Klimin, M. (Inst. of Water and Ecol. Prob. FEB RAS ), Bazarova, V. (Pacific Inst. of Geography FEB RAS)

サハリンは最終氷期にシベリア,北海道と陸繋していたため,その植生は両地域の影響を強く受けた.現在サハリン南部には北海道と共通する冷温帯落葉広葉樹とエゾマツ,トドマツの混交林が発達し,北部にはタイガの主要構成種グイマツが広く分布している.最終氷期以降の植生変遷を解明するため,オホーツク海沿岸,南部のTumanovo (48°44’N, 142°51’E)とAidar(47°46’N, 142°32’E),北部のKhoy (50°13’N, 143°50’E)の3地点から得られた堆積物について,年代測定と花粉分析を行った.南部では晩氷期にBetula林と草原が発達した. 同時代の日本海岸にはLarix-Pinus林が発達しており(Igarashi et al, 2002),オホーツク海岸は海洋性気候下にあった. その後Betula林へのLarix, Pinusの混交,8000年前のAbies,Quercus,Ulmusを混交したPicea林の時代をへて,完新世後期にはLarixがやや回復し冷温帯要素が減少して現在に至った. 北部では約6000年前にはAbies, Pinus, Larixを交えたPicea林へ移行して現在に至った. オホーツク沿岸でのPicea, Abiesの増加は完新世以降であり,冷温帯性広葉樹の増加は南部のみで8000年前以降であった.

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