| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-114

地表徘徊性甲虫の群集構造に二次林の植生管理が与える影響

*渋谷園実(東大院・新領域), 久保田耕平(東大院・農), 大澤雅彦(東大院・新領域)

樹木伐採や下刈りといった人間による二次林管理は、自然の遷移の進行を抑えそのことにより特有の生態系が形成されてきた。しかし、近年人間と自然の持続的共存関係が崩れ、現在放置二次林が増えている。これまでヨーロッパを中心に地表徘徊性甲虫の群集構造を決定している要因を抽出しようとした研究がなされているが、地形・気象など様々な条件が地点間で異なっているため、要因の示唆にとどまる場合が多い。そこで要因を特定するためには、できるだけ同条件でかつ多地点における詳細な調査が必要となる。これまで筆者らの研究で、甲虫群集はフィールド実験区において、小規模範囲の植生攪乱に短期間に鋭敏な反応をすることが示された。そこで本研究では、調査地点の範囲を広げ(1)地表徘徊性甲虫群集に影響を与える要因の特定、(2)植生攪乱初期の実験区と下刈りなどの管理を実施している二次林との甲虫群集を比較し植生変化が及ぼす甲虫群集への影響を調べる事を目的とした。

管理している二次林において植生の異なる20地点を選出した。この20地点に加え、植生攪乱を加えた実験区7地点の計27地点において、ピットホールトラップによる地表徘徊性甲虫、毎木、林床植生、ササ稈数、リター・F/H、土壌水分、地表面・地中温度、開空度の調査を行った。その結果、甲虫群集構成に影響を与えている要因は、植物の量(林床の植被率)と質(多様度、種数)及び樹木由来であるF/H層といった、いずれも植物に関係するものであることがわかった。また植生攪乱後の実験区と管理している二次林とでは、優占種及び群集構成が大きく異なり、二次林における植生遷移に伴う甲虫群集の変化が示唆された。

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