| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-130

ヨツボシモンシデムシの資源利用におけるアリとハエの影響

*岸田竜(鹿児島大 連合農), 鈴木信彦(佐大 農)

モンシデムシ属Nicrophorusでは、親が小型脊椎動物の死体を子供の餌として利用し、捕食者や他の腐食者から子供や資源を防衛する。モンシデムシ属にとって他の昆虫、特にハエ類やアリ類は重要な競争者であると考えられている。本研究では、アリ類の豊富な九州に生息するヨツボシモンシデムシN. quadripunctatusを用いて、アリ類やハエ類とヨツボシモンシデムシとの間の資源を巡る競争を調査した。

野外に鶏肉を設置し、1日1回鶏肉に集まるヨツボシモンシデムシとアリ類の個体数を7日間測定した。ハエ類の調査は、ハエ類の卵と幼虫を資源の外側から確認することは困難なため、鶏肉を設置して3日後(ヨツボシモンシデムシが出現する時期)に回収し、卵数と幼虫数を測定した。

ヨツボシモンシデムシの出現数は、春は時間経過に伴い増加し、秋は5日目まで増加しその後減少した。アリ類は多くの鶏肉に出現したが、春秋共に鶏肉設置直後に集中しその後減少した。野外に設置してから3日後に回収した鶏肉では、ハエ類の卵は少なかったが幼虫は多くの鶏肉に出現した。

したがってヨツボシモンシデムシが出現時に遭遇するのはハエ類の幼虫と思われ、アリ類とは出現時期の違いから結果的に資源を使い分けていると思われる。

日本生態学会