| 要旨トップ | | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P2-134
生息地面積とそこに生息する種数の関係は種数‐面積関係として知られている。栄養段階が上位にある生物種では、生息に必要とされる面積がより大きくなることがHolt(1996)により示されている。この関係は捕食を通じて間接的に餌生物の種数‐面積関係に影響すると予測される。これらを組み合わせにより、種数‐面積関係 S = CAz (S:種数、A:生息地面積、C, z:定数) において、捕食者の存在する生息地では傾きzが変化すると予測される。傾きは、種の入れ替わりを意味し、MacArthur & Wilson (1967)による島の地理生態学のなかで移入と絶滅の平衡により決定されるものである。捕食者により絶滅が促進され、移入には変化がなければ傾きは小さくなるはずである。
本研究ではこの仮説を検証するために、バハマの島嶼群で調査を行った。バハマの島嶼生態系では最上位の捕食者がトカゲであり、また中間捕食者であるクモ類も下位の栄養段階の植食者・雑食者群集に影響することが調べられている(Schoener & Spiller 1987; Spiller & Schoener 1994)。つまり、この生態系では捕食者の影響が栄養段階(植食者・捕食者)によって様々であることが予測される。
調査地は24の島(面積約200〜290,000m2)からなる。これらの島に分布しているほぼすべての植物種でビーティングにより節足動物を採集し、それぞれの島に生息する節足動物の種数と個体数を調査した。これらの情報に加えて、トカゲの有無、島の面積・位置、攪乱強度、植物種の分布など、各島についての既存のデータを用い、捕食者が島に生息する節足動物の種数‐面積関係に与える影響、特に、その傾きへの影響を検討する。