| 要旨トップ | | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P2-140
甲虫は種数が多く、陸上生物の1/4を占めると言われ、生物多様性を考える上で大変重要なグループである。また、甲虫は、生態的にも多様で、様々な環境を反映すると思われ、行動範囲も比較的狭い(鳥類や動物類と比較)ので、狭い範囲の環境変化に鋭敏に反応してくる。しかし種数が多く、調査には多大な労力と専門知識が必要なこと、専門家でないと同定が困難なグループが依然かなり存在すること、基本的な生態が解明されていない種類が多いこと等、問題点も残されている。
今後、森林管理等で生物多様性を重視する必要性がでてきており、甲虫について専門家でなくても実行可能な多様性のモニタリング手法が必要となっている。今回は、中部山岳地帯でおこなっている森林における甲虫多様性調査から、「種数が多く、多大な労力が必要」といった問題を解決するため、モニタリングの対象として、甲虫を代表しうる一部グループ(科)の選定を行うことを試みた。
調査林分における甲虫全体の種数と各甲虫科の種数の相関から、甲虫全体の種数をよく表す科の選定を試みた。また、Pianka のαと森下のCλを用い、林分間の甲虫全体の種構成の違いと、各科における種構成の違いの相関を求め、全体の種構成の違いを科の種構成の違いとしてよく反映している科の特定を試みた。
甲虫全体の種数を良く表すグループとして、カミキリムシ科、ゾウムシ科、コメツキムシ科、ナガクチキムシ科等が、また、甲虫全体の種構成の違いを表す科としては、ゾウムシ科、ハムシ科、ハナノミ科等が挙げられた。