| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-144

ブナ種子豊凶に伴う野ネズミ群集の変動

*西友香理(新潟大院・自然科学),箕口秀夫(新潟大・自然科学系)

ブナ林に生息する野ネズミは,ブナ種子豊凶に連動し個体数に年変動を生じる.豊作当年において,秋季個体群の増加さらに秋季繁殖の遅延が生じ,翌春に大発生する.しかし,個体の死亡もしくは分散により増大した個体群は豊作翌年の秋までに崩壊することがこれまで明らかになっている.ブナ種子豊凶に伴う野ネズミ群集の一連の変動の要因を把握するには,個体群の増大を経て収束するまでの翌年春から秋までを通じた解析の必要がある.今回,野ネズミ群集の増大および収束を決定するうえで重要な意味をもっていると考えられるブナ種子豊作翌年の春季繁殖と秋季繁殖に注目して解析を行った.

調査は,山形県小国町ブナ天然林で行った.本調査地では,ブナ種子落下数と野ネズミ群集の動態について,1990年から2007年まで6,7,11月の年3回の調査が継続して行われてきた.ブナ種子落下数調査は,10m間隔の格子状に開口部0.5平方メートルのシードトラップを設置して行った.野ネズミの群集動態の調査は,10m間隔の格子状に108個の生け捕りワナを設置し,連続3晩の記号放逐法で行った.捕獲した野ネズミは種,性別,体重,および繁殖状態を記録した.捕獲された野ネズミはヒメネズミ,アカネズミ,およびヤチネズミの3種であった.

春季繁殖により個体群に加入した個体の体重分布は,繁殖時期を反映していると考えられた.そこで,6,7月に出現した幼体の体重に影響を与える要因について検証を行った.さらに,11月における個体群構造は,収束期における秋季繁殖の成功と個体の消失を反映していると考えられた.そこで11月に捕獲された個体の体重に影響を与える要因について検証を行った.その結果,7月に出現した幼体の体重には前年ブナ種子落下数による効果が認められたが,その寄与の程度から他の要因も関与していることが示唆された.

日本生態学会