| 要旨トップ | | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P2-154
四万十川流域における流域の森林タイプと底生動物群集との関係について研究を行ってきた。広葉樹天然林流域と針葉樹人工林流域の比較では、渓流に生息する底生動物の群集構造が異なっていることを明らかにし、ミジカオカワゲラ科やナガレアブ科は天然林流域に多く、ヒゲナガカワトビケラ科は人工林流域に多いということを見出した。針葉樹人工林流域、二次林流域、天然林流域の3つの森林タイプ間で底生動物群集を比較すると、個体数・科数・多様性指数の違いはなかったが、群集構造が異なっており、二次林流域の底生動物群集は天然林からなる流域と針葉樹人工林からなる流域の中間あたりに位置することを明らかにした。四万十川流域と同じ気候帯に属する紀伊半島南部においても同じ傾向が見られると考えられる。紀伊半島南部の四万十帯に属する地域において、針葉樹人工林流域、二次林流域、天然林流域を含む数十箇所を調査地に設定した。各調査地点において、5回、底生動物の定量採集を行い、採集した底生生物は80%アルコールにて固定し、その後同定を行った。水温、気温、pH、EC、Doは調査地点ごとに調べた。底生動物群集は若干の違いはあるものの四万十川流域の場合と同じく森林タイプによって異なっていた。四万十川流域で得られた結果は普遍的なものであると考えられる。