| 要旨トップ | | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P2-185
モモジロコウモリ(Myotis macrodactylus,以下モモジロ)及びドーベントンコウモリ(Myotis daubentonii,以下ドーベントン)の2種は、主な採餌環境として河川や湖沼などの水面上を利用することが知られている。また、日中の休息場所として樋門などの人工構造物を利用することが知られている。
モモジロは日本全国に分布し、北海道では沿岸部(低標高地)から内陸部(高標高地)まで広域で記録されている。これに対し、日本では北海道にのみ生息するドーベントンは、主に沿岸部(低標高地)で確認されており、内陸部(高標高地)ではほとんど分布が確認されていない。しかし、ドーベントンがどの程度内陸部もしくは高標高地まで分布するか詳細な調査はされていない。
そこで、本研究ではドーベントンの捕獲記録がある北村(現岩見沢市)と、継続的に調査されているにもかかわらず捕獲記録のない旭川市をつなぎ、2種の採餌環境と推測される石狩川を対象に、ドーベントンの分布域を明らかにするための調査を行った。方法は、河口から旭川市までの流路延長約167km内に点在する樋門などの人工構造物において、休息しているコウモリを捕獲し、同定した。
2007年8月29日から10月10日までの42日間に、計234ヵ所の人工構造物を調べた結果、57ヵ所で2種のコウモリを確認した。このうち、ドーベントンは9ヶ所、河口からの距離約14km〜40kmの範囲で確認された。モモジロは50ヵ所、河口からの距離約24km以上の範囲で広く確認された。
本調査により、ドーベントンのおおよその分布域は、過去にも捕獲記録がある北村付近までであることが推測された。