| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-201

鏡像体は正常になれるか?〜エピジェネシスの実験進化〜

*清水啓介, 浅見崇比呂(信州大・理)

動物では、左右が逆転した鏡像体は進化していない。しかし、巻貝では鏡像体では殻の巻き方向だけでなく、内臓の配置も左右反転した鏡像体が繰り返し進化した。有肺類の巻型は、単一遺伝子の母性効果によって決定される。タケノコモノアラガイの野生型(右巻)と突然変異体の左巻では、らせん卵割が鏡像対称には進行しない。8細胞期では、大割球と小割球のずれる角度(らせん度)が、右巻より左巻で小さい。左巻は右巻よりふ化率が低く、らせん度が大きいほどふ化率が高い。もし左巻のふ化率とらせん度に相加遺伝分散が十分にあれば、左巻が右巻より有利な環境では、左巻のふ化率とらせん度が改善され、正常な左巻が適応進化しうる。そこで、ふ化率とらせん度の狭義の遺伝率を実測した。さらに、ふ化率とらせん度を共に上げる場合と下げる場合の相乗選抜と、一方を上げ他方を下げる拮抗選抜を行った。相乗選抜と拮抗選抜の結果を比較し、それらの差異の進化学的な意味を議論する。

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