| 要旨トップ | | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P2-234
世界的に除草剤抵抗性雑草の発生が問題となっている。今までに183種の除草剤抵抗性雑草が報告されており、その数は現在も増え続けている (Heap, 2007)。除草剤抵抗性雑草の出現は、除草剤に依存した雑草管理を行ってきたアメリカ、カナダ、オーストラリア等の大穀倉地帯ほど深刻である。これらの国々は、世界中に穀物を輸出しているが、その穀物には多種多様な外来雑草の種子が混入しており、穀物貿易は外来雑草の主な侵入経路の1つとして考えられている。穀物に大量に混入する雑草種は、現地の畑で優占する種であり、このような種の多くは除草剤抵抗性の発生が報告されている。つまり穀物混入雑草種子の中に抵抗性個体が含まれている可能性が極めて高い。除草剤抵抗性雑草の出現による被害を防止するためには、抵抗性雑草が輸入穀物にどの程度混入しているのかを把握する必要がある。
本研究では、西オーストラリア産コムギへの混入量が最も多いボウムギ(Lolium rigidum)を対象に、除草剤感受性試験を行い、混入ボウムギ種子全体に対する抵抗性個体の割合を推定した。ボウムギは世界で最も主要な除草剤抵抗性雑草であり、西オーストラリアの80%以上の耕作地において抵抗性個体が報告されている。
試験の結果、抵抗性個体の割合は、ジクロホップメチル(ACCase阻害剤)に対して48%、クロルスルフロン(ALS阻害剤)に対して70%であった。グリホサート、トリフルラリンに対する抵抗性個体は検出されなかった。この値は西オーストラリアでの除草剤抵抗性発生調査で算出された値と近く、コムギ混入種子における除草剤抵抗性個体の割合は、現地の耕作地の状況を反映しているといえる。