| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-237

ミヤマシジミ生息地に侵入したシナダレスズメガヤによる食樹コマツナギへの影響

*萩原陽二郎,山下雅幸,澤田均(静大・農)

環境省RDB掲載種ミヤマシジミLycaiedes argyrognomon praeterinsularisは、マメ科小低木のコマツナギIndigofera pseudotinctoriaを食餌植物として利用している。ミヤマシジミの生息地は全国的に減少しており、静岡県安倍川の生息地も河川環境の変化などによって減少している。さらに近年、外来イネ科植物シナダレスズメガヤEragrostis curvulaの侵入による悪影響が懸念されている。本研究では安倍川本流におけるミヤマシジミ生息地の現状、シナダレスズメガヤの侵入程度およびコマツナギに及ぼす影響を明らかにするため、これまでミヤマシジミが確認された生息地の調査およびシナダレスズメガヤ除去実験を行った。

過去に報告された生息地32地点を調査した結果、中流域の7地点でミヤマシジミが確認された。これらの生息地ではコマツナギ個体群は被陰されておらず、個体群サイズは100個体以上であった。一方、シナダレスズメガヤは河口から約30km地点まで分布し、優占地ではコマツナギの実生は確認されなかった。

シナダレスズメガヤ除去実験の結果、除去区におけるコマツナギ個体あたりの花序数および花序あたり花数は非除去区より多かった。シナダレスズメガヤの侵入はコマツナギの繁殖に負の影響を及ぼし、コマツナギ個体群を縮小させることが示唆された。シナダレスズメガヤの分布域拡大によるコマツナギ群落の縮小は、局所的なミヤマシジミの絶滅要因になる可能性がある。安倍川におけるミヤマシジミの局所絶滅を回避するためには、現存する生息地におけるコマツナギの適切な管理や植栽による生息地の保全、およびネットワーク化による中流域全体での保全が必要であると考えられる。

日本生態学会