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一般講演(ポスター発表) P2-263
本研究は、土壌呼吸の季節変化および年間土壌呼吸量の推定における土壌水分の寄与を明らかにするため、アジアモンスーン気候下に成立する冷温帯落葉広葉樹林(岐阜大学流域圏科学研究センター・高山試験地)において、自動開閉システムによる土壌呼吸の連続測定(無雪期間)を2005年から2007年の3年間にわたって行った。同時に、小型CO2センサーを用いた土壌中CO2濃度プロファイル(1, 10, 20, 50 cm)をモニタリングし、土壌深さ別のCO2生成量などの解析から土壌水分への土壌呼吸の応答メカニズムを明らかにする。
その結果、対象森林生態系では、土壌呼吸速度の第一制御要因は地温であり、土壌呼吸の季節変化および年変動の86%以上が地温によって説明できた。同時に、土壌呼吸速度が土壌水分変動に敏感に応答し、特に6月の梅雨時期から9月の台風時期において、降雨に伴う土壌水分の増大に伴い表層土壌のCO2生成が促進され、土壌呼吸速度が増加することが明らかになった。地温と土壌水分の両方を考慮する経験的モデルを用いて2005から2007年において年間土壌呼吸量が1022 g C m-2 y-1から1177 g C m-2 y-1の間に推定され、実測値に比べて2%以内の偏差範囲であった。また、地温のみ考慮する経験的モデルにより推定された年間土壌呼吸量も同じく2%以内の偏差範囲であった。したがって、年間土壌呼吸量の推定において地温の寄与は最も重要であることが改めって確認された。しかし、土壌呼吸の季節変化パターンにおける土壌水分の寄与が大きく、タワーフラックス(渦相関法)により得られた生態系純生産(NEP)の季節変化と比較しながら、対象生態系の炭素動態における土壌水分の寄与を考察する。