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一般講演(ポスター発表) P2-280
森林施業が適切に行われていない人工林が多く存在する。そのような人工林では、樹冠が閉鎖して長い時間が経過し、枝の枯れ上がりがおこったり、木の成長が衰えたりと幹・枝・葉などの生態系呼吸量に大きな影響を与えていると考えられる。(森林の炭素固定量)=(光合成による吸収量)−(呼吸による放出量)であるので、施業が森林の炭素固定量にどのような影響を与えるか考える上で生態系呼吸量の把握は重要である。
本研究では、滋賀県南部の施業履歴が異なる約40〜50年生のヒノキ人工林3plotで観測を行った(plotS1:2002年に間伐、plotS2:10年以上間伐が行われていない、plotK:植林から間伐などの施業が全く行われていない)。3つのプロットそれぞれから、標準的なヒノキ立木を伐採し(S1,S2:2006/9/19,K:2005/9/20、2007/9/20)、葉・枝・幹を伐り分け、チャンバー周囲の気温と同時に呼吸量を測定した。また、樹冠の長さ、葉・枝の位置、枝の長さ・太さ、葉・枝の現存量、葉の窒素量を測定した。さらに、伐採木の樹幹解析を行い成長量の変化を調査した。呼吸量の測定は、閉鎖循環型チャンバー法により、赤外線CO2/H2Oガスアナライザーを用いて行った。
葉の呼吸量は、光条件が良い樹冠上層や外側で大きかった。特にKは、呼吸速度の大きい上層部分が少なかった。枝の呼吸量は、樹冠上層で大きかったが、3つの林分の違いは小さかった。幹の呼吸量は、樹幹解析で計算された年間成長量が一番小さいKの幹呼吸量が他のプロットの幹呼吸量よりも小さかった。S1とS2は、同様の施業がなされてきたと考えられるが、S1の幹呼吸量が大きかった。間伐してから間がないため、成長呼吸がS2よりも盛んであることがその原因と推測される。また、S2、Kは樹冠長率が小さく、Kは形状比も高かった。