| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-286

魚眼デジタルカメラ画像による草原のLAI推定とモニタリング

中川奈美子(玉川大),*関川清広(玉川大),三上寛了(筑波大),鈴木あづさ(玉川大),西田顕郎(筑波大),鞠子茂(筑波大)

LAI推定法には,サンプリングによる直接法(破壊的),葉群内の光の減衰や全天写真画像解析に基づく間接法(非破壊的方法)などがある.森林に比べて,草原におけるLAI推定法の比較研究例は少ない.関川ら(2007)は,冷温帯半自然ススキ草原においてこれらの手法間比較を行い,直接法に比べ,間接法(LAI-2000法と全天写真法)が過小評価となることを報告し,測定上の問題点を指摘した.草原における間接法によるLAI推定の問題点は,画像の場合葉群に露出を合わせると空が明るく写り過ぎ開空率が高くなる,測定機器の測定位置の高さより下位の葉群を評価することが困難,枯死葉が落葉しない場合がありその補正方法の検討が必要であることなどである.本研究では,これら3種類のLAI推定法の比較検証,特に間接法の過小評価を改善することを目的とした.筑波大学菅平高原実験センター内のススキ草原に,毎月1回の頻度で調査プロットを設置した(1m×0.5m,3反復).プロット内で,(1)魚眼デジタルカメラを用いて葉群全天写真を複数段階の露出で撮影し,ソフトウェアHemiViewを用いて画像からLAIを算出,(2)LAI-2000(Li-Cor製)を用いてLAIを複数の高さで測定,(3)直接法によるLAI推定のため地上部を刈り取り,葉面積とバイオマスを求めた.天空に露出を合わせた葉群全天写真画像からのLAIが,もっとも高く,より直接法のLAIに近い値となった.魚眼デジタルカメラレンズ面(地上約20cm)以下の葉群のLAIは1程度と推定され,これによるLAI推定への影響は生育の初期に大きかった.地上部バイオマスのピーク時以降には,枯死部の評価方法がLAI推定に影響を与えることが示唆された.

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