| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P3-008

冠水と乾燥の繰り返しの期間がネコヤナギの成長と水分生理に及ぼす影響

*中井亜理沙,万木 豊,木佐貫博光(三重大・生物資源)

河川沿いの砂礫堆の地表面は,河川水位の上昇による冠水と水位の低下による乾燥にさらされる.基質の冠水と乾燥はともに植物の成長を抑制する要因のひとつである.地表面の冠水と乾燥が繰り返し生じる立地に生育する植物の成長は,冠水と乾燥のそれぞれの影響に加えて,冠水と乾燥の組み合わせの影響も受けていると推定される.冠水によって生じる根圏の酸素不足によって植物の根の成長は抑制される.冠水耐性種は肥大皮目や不定根を発達させて根圏の酸素不足に対応する.一方,乾燥にさらされた植物は根への資源配分比を高めたり,根を深く伸長させることによって吸水の効率化を行う.それでは,冠水によって根の成長が抑制された植物が乾燥にさらされると,根が大きく発達していないために吸水を効率的に行うことができずに,その成長は単に冠水にさらされた場合よりも抑制されるのではないだろうか.また,長期間の乾燥によって成長が抑制された植物が冠水にさらされると,肥大皮目や不定根等の形成に対する資源配分が少なくなり,単に乾燥にさらされた場合よりも成長は抑制されるのではないだろうか.本研究では,繰り返される冠水と乾燥のそれぞれの期間がネコヤナギの成長に及ぼす影響を解明するために,ガラス室において,期間の異なる冠水処理3期間(1,2,3週間)と乾燥処理3期間(1,2,3週間)を組み合わせた9処理区ならびに毎日潅水させた対照区においてそれぞれ10本のさし木苗を栽培し,その成長と水分生理特性を処理間で比較した.さらに,冠水と乾燥の組み合わせがネコヤナギさし木苗の成長に及ぼす影響について考察した.

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