| 要旨トップ | | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P3-033
ミニライゾトロンをはじめとする根圏の画像計測法は、植物根の成長、枯死、捕食や分解といった動態を 非破壊で観測する研究手法として農業分野や生態系研究分野で広く使用されている。一般に、この手法では、地中に埋設した透明なウィンドウ越しにCCDカメラで根圏の画像を撮影する。そしてカラー画像(赤青緑の合成画像)をPCに取り込み、目視で根の部位を判読しながら、その成長や消長を観測する。この解析には膨大な処理がかかる課題があり、さらに、根の生死の判別や土壌と根の判別には研究者ごとの経験や基準差が影響するため、手法の客観性にまだ改善の余地がある。近年、分光計測装置の性能は向上し、可視から近赤外波長までの連続分光画像の計測が比較的容易になった。一般に、分光反射特性、特に近赤外以降(>700nm)の反射率は対象物の組織構造や化学組成を反映し、植物組織と土壌では大きく異なる。今回、我々は、可視〜近赤外域の反射特性に着目し、従来のカラー画像の可視域情報だけでは難しい根の生死判定や土壌と根の判別が、可視−近赤外域の分光反射画像の撮影によって客観的かつ容易になると予想した。実験的にガラスケースで育成したポプラの根圏を対象に、連続分光画像を撮影し、根圏の解析における近赤外画像の有効性について考察を行った。 参考文献: Nakaji, T., Noguchi, K. and Oguma, H. (2007) Classification of rhizosphere components using visible-near infrared spectral images. Plant and Soil DOI 10.1007/s11104-007-9478-z