| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P3-043

風衝ストレス下にある常緑針葉樹ハイマツの光合成特性

永野聡一郎(東北大・院・生命科学),中野隆志(山梨環境研),彦坂幸毅(東北大・院・生命科学),丸田恵美子(東邦大・理)

ハイマツ(Pinus pumila Regel)は、日本の山岳地における優占種のひとつである。本種は生育する微地形によって生育型を変化させている。例えば、植物高は風衝地よりも風背地において高い。また風衝地では、ハイマツの針葉が褐変化し、針葉に多くのストレスがかかっているように見える。冬季の風衝作用は、葉に物理的なダメージを与えると考えられる。我々は、風衝地のハイマツが厚く丈夫な葉を持つのではないかとの仮説を立て、風衝作用の異なる立地に生育するハイマツ針葉の葉特性を調べた。

予想とは逆に、葉面積あたりの葉重(LMA)は、風衝地よりも風背地のほうが高く、風衝地のハイマツは厚い葉を備えてはいなかった。当年葉の葉面積あたりの最大光合成速度(Amax)は、生育する微地形に関わらずほぼ等しかったが、一年葉では風衝地で越冬したハイマツが風背地に比べて低下していた。また、葉面積あたりの窒素含量(Narea)は、風衝地よりも風背地のほうが高く、LMAに応じて高くなる傾向があった。NareaとAmaxの間には総じて緩やかな正の相関が見られた。風衝地のハイマツの葉寿命は、風背地のそれよりも短く、風衝地のハイマツは、丈夫で長寿命の葉よりもコストの安い短寿命の葉を作っていると考えられた。

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