| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P3-050

中国毛烏素沙地における樹木の葉の膨圧維持能力と水ポテンシャルの日変化

*山本牧子(鳥取大・乾地研),吉川 賢,三木直子(岡山大院・環境),王 林和,張 国盛(内蒙古農業大),山中典和(鳥取大・乾地研)

半乾燥地における持続的な緑化のためには,立地条件に適した樹種選択と植栽密度の検討が重要であり,緑化に使用する樹種に対する各々の生理生態的特性などの多くの情報が必要とされる。そこで本研究では,砂漠化が問題となっている地域の一つである中国の毛烏素沙地に生育する樹木の水分生理特性を明らかにすることを目的に調査を行った。

調査は毛烏素砂地開発整治研究センター内で行った。調査期間は2006年8月7日〜8月12日,及び2007年8月27日〜9月4日である。調査木には毛烏素沙地の代表的な樹種であるヤナギ属のサリュウ(Salix psammophila)とハンリュウ(S. matsudana),キク科のユホウ(Artemisia ordosica),マメ科のカラガナ(Caragana korshinskii)を選んだ。2006年,2007年ともに調査対象樹木のP-V曲線を作成し,膨圧を失う時の葉の水ポテンシャルを求めた。さらに2007年8月31日の夜明け前から日没まで一時間毎に,葉の水ポテンシャルと気孔コンダクタンスの日変化を測定した。

日中の葉の水ポテンシャルは,サリュウとカラガナでは膨圧喪失点と同程度の値まで低下し,ユホウでは膨圧喪失点より低い値が観察された。一方で,ハンリュウの水ポテンシャルの最低値は膨圧喪失点より高い値を示した。同日の気孔開度は,葉の水ポテンシャルの低下が少なかったハンリュウで最も大きな日変化を示し,膨圧喪失点の値に近い,または,より低い葉の日中の水ポテンシャルを示したサリュウ,ユホウ,カラガナの気孔開度は一日を通してハンリュウより小さい値であった。これらのことは各々の樹種の圧ポテンシャルの変化や通水能の違いが影響を与えていると考えられた。

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