| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P3-169

グッピーの体色とメラニン生合成に関わる遺伝子の関連性

*手塚あゆみ(東北大・院・生命科学),河田雅圭(東北大・院・生命科学)

グッピー(Poecilia reticulata)は南米産の小型卵胎生熱帯魚で、オスのみがオレンジ(カロテノイドやプテリジン)・黒(メラニン)・構造色(非色素の虹彩色)で構成されるカラーパターンを持ち、メスにはその複数の形質、特にオレンジスポットへの選好性が報告されている。性選択の理論上、選好性の対象であるオスのカラーパターンは集団内において一様になるはずだが、極めて多様である。この原因解明のため、現在まで多くの研究が行なわれてきたが、どの要因がどれだけカラーパターンの多様性の維持に影響を与えているのかは明らかではない。カラーパターンに関わる自然選択の様式を検出するためにはカラーパターンとその遺伝的背景を明らかにし、遺伝子あるいはDNAサイトの置換率や頻度を調べることで可能になると考えられる。

多くの遺伝子がグッピーのカラーパターン形成過程に関わっていると考えられるが、現在まだカラーパターンに関わる遺伝子はわかっていない。これまでの他の生物の研究からメラニン合成に関わる遺伝子の配列と体色との間に関係がみられていることから、本研究ではカラーパターンの構成要素の一つである黒スポットに焦点を絞った。メラニン合成に関与する6遺伝子(Tyrosinase a, Tyrosinase b, Tyrosinase-related protein 1 a, Tyrosinase related protein 1b, Dopachrome tautomerase, melanocortin 1 receptor)に着目し、この6遺伝子の全コード領域を決定し、解析を行い、グッピーの黒スポット等の黒色の表現型形質の多様性に寄与する遺伝子の検出を行った。

日本生態学会