| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P3-178

ヒメサスライアリに多様化した好蟻性昆虫の形態・行動・体表炭化水素

*丸山宗利(フィールド自博/海外学振), 秋野順治(京工繊大・応生), Rosli Hashim(マラヤ大・理), 小松貴(信州大・理)

ヒメサスライアリ属Aenictus(ハチ目)は東南アジアで繁栄している軍隊アリの一群で、各種は多くの種の好蟻性昆虫(以下、蟻客)を擁するアリとしてしられている。ふつう、1種のヒメサスライアリに5種以上の蟻客が依存しており、それらの大部分はヒメサスライアリ属の種ごとに強い寄主特異性をもつ。本研究では、ヒメサスライアリ属のアリ3種を対象とし、それらと共生する蟻客3目(シミ目、ハエ目、甲虫目)、3科、10属、13種について、行動観察、体表炭化水素の分析を行ない、形態との関係について考察した。蟻客の行動は変化に富み、アリと一緒に行動するもの、アリの成虫に運ばれるもの、アリの背中に便乗するものなどがあった。多くの蟻客では体表炭化水素の組成はアリの成虫に似ていたが、一部ではアリの幼虫に似ていた。形態も多様で、アリの成虫、幼虫それぞれに酷似するもの、非常に扁平なもの、発達した分泌腺を備えるものなどがあった。行動、体表炭化水素成分、形態は、互いに密接な関わりがあると考えられた。

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