| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P3-192

滋賀県東部のため池に生息する水生昆虫相と環境条件との関係

*中西康介,近雅博(滋賀県大・環境科学)

ため池は稲作の灌漑用につくられた人工的な止水域であるが,様々な水生昆虫の生息場所としての役割も果たしている.本研究はため池に生息する水生昆虫の多様性や種の分布を決める要因を明らかにすることを目的とした.そこで,滋賀県東部に分布する21箇所のため池において,水生昆虫(トンボ目,カメムシ目,コウチュウ目)の採集調査と環境条件の調査を2007年に各調査池で2回ずつ行なった.

2回の調査で,トンボ目29種,カメムシ目10種,コウチュウ目18種が採集された.これら3目をあわせた種数と正の相関があった環境条件は,自然護岸率と抽水植物の被度であった.また,負の相関があったのは底質の粗さであった.一方,重回帰分析の結果,水生昆虫の多様度を増大させる要因として岸を覆う草本率,水深があげられた.反対に底質の粗さとアメリカザリガニの存在が多様度を減少させる要因であった.さらに外来魚またはアメリカザリガニが存在している池では,カメムシ目の種数が減少する傾向がみられた.

また,種の分布と環境条件との関係を調べるために目ごとに正準対応分析(CCA)を行った.その結果トンボ目の種と,抽水植物の被度,浮葉植物の被度,アメリカザリガニの存在という3要因との関係がみいだされた.そして,カメムシ目は浮葉植物の種数・被度,外来魚の存在,コウチュウ目は抽水・浮葉・沈水植物の種数,底質の粗さ,岸を覆う樹林率,塩分濃度,ウシガエルの存在との関係がみられた.同様に冗長性分析(RDA)を行なった結果,トンボ目の各種の個体数と関係がみられた要因として,抽水・浮葉・沈水植物の種数,溶存酸素濃度,落葉堆積物の存在があげられた.また,カメムシ目には沈水植物の種数,平均水深,周囲長,コウチュウ目には抽水植物の被度と岸を覆う草本率との関係がみられた.

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