| 要旨トップ | | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P3-197
サギは営巣を行うことにより、林床に排泄物や死体を供給している。そのため、腐肉食性昆虫をはじめとする林床の生物群集は、サギが供給する物質の影響をうけている(上野2002)。しかしサギの営巣により、地表性コウチュウ相がどのように変化するかを研究した例はほとんどない。そこで本研究はサギの営巣が林床の地表性コウチュウ相に与える影響を調べるという目的で行われた。ここでの地表性コウチュウはオサムシ科、クビボソゴミムシ科、シデムシ科、コガネムシ科、エンマムシ科、ガムシ科、ハネカクシ科の昆虫である。
本研究は滋賀県東部、彦根市を流れる犬上川で行われた。犬上川下流域でサギが営巣を行っていない竹林2地点(調査地1,2)と、行っている竹林2地点(調査地3,4)を選び地表性コウチュウの採集を行った。調査は2007年4/24〜12/27の期間に行った。採集はプラスチックコップ(容積270ml)を約3m間隔で一列に10個配置する、ピットホールトラップ法で行った。
調査地1では4科17種318個体、調査地2では4科27種545個体、調査地3では7科37種323個体、調査地4では6科29種509個体が採集された。調査地1,2でオサムシ科の昆虫が200個体以上採集された。また、調査地3、4でシデムシ科、コガネムシ科(特にOnthophagus属)の昆虫が多く採集された(調査地3、130個体と49個体;調査地4、299個体と82個体)。
各調査地でShannon-Weaverの多様度指数(H’)を用いて、多様度を算出した。その結果、調査地1は1.85、調査地2は2.12、調査地3は2.53、調査地4は1.76となり、調査地3が最も多様度が高くなった。また、Piankaのα指数を用いて各調査地の類似度を算出した。その結果、類似度が0.6以上になったのは調査地1と調査地2、調査地1と調査地4であった。