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一般講演(ポスター発表) P3-213
ウイルスが細胞内で増殖するときには、ゲノム複製のためのタンパク質の合成、ゲノム複製、ウイルス粒子タンパク質の合成、ウイルス粒子形成などのステップを必要とするが、ウイルスのゲノムは種によってDNAであったりRNAであったりと多様である。
ゲノムがDNAである場合にはタンパク質を合成するためにまずメッセンジャーRNA(mRNA)を合成しなければならないが、ゲノムがRNAの場合にはその必要はない。この違いはウイルスの増え方、ひいては暗黒期(eclipse period)の長さや細胞から放出されるウイルス粒子の数(burst size)などのウイルスの適応度に結びつく形質にも影響を与えると考えられる。
本研究ではゲノムがDNAであるか+鎖RNA(mRNAとして働く)であるかによってウイルスの細胞内での増殖がどのように異なるのかを微分方程式を用いて数理モデルをつくり調べた。その結果、今回のモデルではウイルスの増え方には大きな差はないが、パラメータ依存性にはいくつか異なる点があることがわかった。また、それらがウイルスの適応度に与える影響についても議論する。