| 要旨トップ | | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P3-217
ベーツ擬態において、毒を持つことによって捕食率を下げるモデル種と、毒を持たないか毒の量が少ないのにモデル種に似ることによって捕食率を下げるミミック種の二種の相互関係が寄生的であるとは必ずしも言えず、両種の個体群密度や模様の類似度、それぞれの種の毒の強さによって、寄生的であることも相利共生的であることもある。
モデルとミミックの動態について様々なモデルが立てられており、Speed(1992)は捕食者の心理モデルをもとにしてモデルとミミックの捕食率と個体数の動態がどう変化するかを示した。このモデルで言う心理とは、捕食者が餌としての価値(まずさ)を覚えていく過程と忘れていく過程のことである。この心理モデルはモデルとミミックの密度と毒の程度をパラメータ関数として用いている。
本研究では捕食者の心理モデルをさらに発展させ、モデルとミミックの類似程度を考慮し、Rowland(2007,Nature)の実験の結果をもとに新たなモデルを構築した。モデルとミミックが似ているほど、お互いの捕食率が影響しあう。また、ミミックのまずさが変化することによりベーツ、ミュラー型擬態、その中間、それぞれの場合を調べることができる。新たなモデルから、パラメータ(まずさ・数・類似度)によってモデルとミミックの関係性がどのように変化するかを調べた。これをもとに、モデルとミミックの毒の程度と模様がその後どのように進化していくかを論じる。