| 要旨トップ | | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P3-244
腐肉食性のオオヒラタシデムシは、成虫も幼虫も腐肉を餌資源として同所的に生活している。腐肉の多くは鳥類や小型哺乳類の死体なので、地表に出現するのは偶発的で、餌資源として利用できる期間は短い。餌探索中の雌がこのような資源を発見すると、雌自身の餌にするとともに、孵化幼虫の餌資源にも供している。野外で捕獲した成虫に、毎日、鳥のひき肉1gを与えて飼育し、雌と雄、ペアの日当たり摂食量を測定した。雄が1日平均0.11±0.01g(S.E.)摂食していたのに対し、雌が1日平均0.19±0.05g(S.E.)で雄の約2倍近く多く摂食していた。このとき、雌雄の日当たり摂食量を合計すると約0.30gとなり、雌雄を一番で飼育した時の雌雄合計の日あたり摂食量の0.29±0.004g(S.E.)とほぼ同じであった。雄と一緒に飼育して交尾・産卵させた雌では、日あたり摂食量が多い個体ほど日あたり孵化幼虫数が多くなっていた。日あたり摂食量が0.1gに満たないペアでは幼虫が孵化しておらず、産卵をするには日あたり最低0.1g以上の肉を摂食する必要があると考えられる(y=0, x=0.11)。ペアの雌が産卵した場合、孵化幼虫は直ちに別の飼育容器に移して個別飼育し、同様に鳥のひき肉1gを毎日与え、蛹になるまでの日当たり摂食量を測定した。一方、雌に1gの鳥のひき肉を与える間隔を、毎日と4日おき、7日おきにして雌の産下卵数を記録した。これらの実験の結果より、本種の雌における餌量に応じた繁殖戦略について考察する。