| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P3-254

越冬するオオハラホソバチ

斎藤歩希(茨城大・理),小島純一(茨城大・理),Lien TP Nguyen (ベトナム,IEBR)

スズメバチなどの社会性カリバチやミツバチなどの社会性ハナバチ、また同じハチ目のアリにおいては、オスは繁殖に関るだけで、コロニーの維持にはほとんど貢献しない。このことは、ハチ目における半倍数性の性決定様式に基づく「性に関連した血縁度の非対称性」をもって説明することができる。

スズメバチ科(Vespidae)のハラホソバチ亜科(Stenogastrinae)のハチは社会性であり、インドから東南アジア、ニューギニアに分布している。その大半が熱帯域に分布していることから、「越冬」等の休眠期を伴うような強い季節性を示す生活史は営んでいないものと考えられていた。一方、本亜科のオオハラホソバチ属(Eustenogaster)は、熱帯・亜熱帯域でも比較的標高の高い、いわゆる「冬」のある地域にも分布することが知られている。この属の一種E. nigraが、ベトナム北部の山間域(標高800m程度)において、未交尾メスとオスが同じ巣内で越冬する生活史をもつことを紹介するとともに、オオハラホソバチにおける社会性進化をコロニーサイクルとの関係において考察する。

日本生態学会