| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P3-267

SSRを用いたオオモミジとイロハモミジの遺伝的多様性

*松本麻子,菊地賢,津田吉晃,金谷整一,吉丸博志 (森林総研)

日本に自生するカエデ属樹種の中でも、イロハモミジとオオモミジは、園芸や造林の目的で苗木生産量が比較的多い種である。イロハモミジ(Acer palmatum)は本州福島県以南の太平洋側、四国、九州に分布し、オオモミジ(Acer amoenum)は北海道から九州まで広く分布しているとされる。本研究では、種苗流通の際の遺伝子撹乱防止に情報を活用するため、SSRマーカーを用いてこれらの2種の遺伝的多様性および遺伝的地域分化についての解析を行った。

サンプリングは2種の日本における分布域を網羅するように行い、イロハモミジ13集団各24個体、オオモミジ33集団各24個体のDNAを抽出した。他のカエデで開発されたSSRプライマーをスクリーニングし、両種で多型が検出された7プライマーでPCR増幅を行った。イロハモミジでは、解析した312個体から遺伝子座あたり5−34の対立遺伝子が検出された。集団ごとのヘテロ接合度の平均値は0.644-0.774、Allelic richnessの値は6.56−8.44であった。STRUCTUREによる解析の結果、紀伊半島付近を境に集団が東西に分かれる遺伝的構造を示した。オオモミジに関しては、解析中である。

日本生態学会