| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P3-272

直方市新入地区における市民参加による竹林拡大抑制と里山再生に関する研究ー地上部バイオマス量推定および伐採計画についてー

明石隆宏(九工大,工),伊東啓太郎(九工大,工),高嶋紀子(九工大,工),池田朝二(直方市役所環境整備室),真鍋徹(北九州市立自然史・歴史博物館)

近年、里山や造林地において竹林が拡大している。産業構造の変化、あるいは外国からの安価な輸入材の影響を受け、 これまで人の手によって管理されていた里山の大部分は放置された状態にあり、管理の行き届かない森林へタケが生育を始め、拡大を続けている。竹林の拡大は、生物多様性の低下を招いたり、里山の景観を変化させたり、公益的機能の低下をもたらす可能性がある。現在, 地域住民やNPOが中心となり, 竹林の分布拡大に対する取り組みが叫ばれているものの, 具体的に竹林の拡大地域あるいは, 拡大の現状を把握している事例は少ない。そこで、森林資源の適切な管理という視点から竹林の拡大に着目し、市民参加による適切な森林管理方法の検討および竹材の有効利用の検討を目的とし、福岡県直方市新入地区を対象に、竹林の動態および土地利用の変遷を把握するために、GISを用い3年代(1986年、1993年、2000年)の航空写真の解析を行った。

また、竹材を安定的かつ持続的に利用するためには、竹林の竹材供給力、すなわち竹林の資源量に関する情報の把握が必要不可欠である。しかし、竹林の林分構造や現存量などに関する情報は意外に少なく、また林分構造や現存量には地域差があると推察される。そこで本研究では竹林の資源量を明らかにし、今後の竹林管理の指標とするために、同地区の竹林において、林分構造の把握および地上部現存量の推定を試みた。また、同地区において地域住民および地方自治体、NPO法人と恊働で行っている、竹林整備を目的とした取り組みも合わせて報告する。

日本生態学会